2013年7月17日水曜日

【2013/07/15】浦島史生さんがいらっしゃいました

今日は出席者5人でのルドルフ。でも稽古場にいるのは7人。
メンバーと筒井さんの他、柳川の浦島史生さんが助っ人で参加してくださいました。
あ、今週も沢さんに代わって森がお伝えしております。


左京西部いきセンの第1会議室を仕切り、男性陣は遺失物をめぐるコントを、女性陣は事務室を舞台にした怒りについてのコントを別室でそれぞれ稽古。
さすがに分身はできないので、僕は人数の少ない男性陣の部屋へ。

台本を渡されたばかりだという浦島さん。困惑しながらも代役を必死に探りながら務めます。
でも一度やってみたのち、「やっぱりやりながらじゃ分からないねえ」。
まあ、そりゃそうでしょうねえ……。

というわけで、僕も加わらせてもらいながら、3人で頭を寄せて話し合ってみます。
筒井さんはどんなオーダーを出したのか、今の演技に何が足りていないか等を確認しながら何度かやってみます。

ためしに立たずに本読みだけでやってみたところ、浦島さんが途中で芝居を止めました。
「係員がインカムマイクで話すときと目の前にいる人に話すときとで、あんまり差がないっていうか、ずっと無機質な喋りになっちゃってるかな……。もっと相手の様子に合わせて、一個ずつ探るように台詞を言ってもいいんじゃないかな」
この問題について、また3人で話し合います。
間の取り方、言い切らない台詞の続き、台本から読み取れる係員の性格などなど、話しつつ試しつつ検討を重ねます。


と、ここで筒井さんが仕切りを開けてひょっこり登場。
「とりあえず2人でやってるところ見せてもらっていいですか?」
「もう筒井さん、俺にやらせたいだけなんでしょ?」と浦島さん。


見終わって拍手する筒井さん。「とても参考になった」とのこと。
岡本さんに相手役が代わってどんな発見や気付きがあったのかを訊きつつ、筒井さんのイメージなどを伝えつつ、3人で台本や人物の解釈をシェアします。
そこへもう1人の本役である多田さんが到着。
「今日は稽古するつもりじゃないんで見学で……」という多田さんに、「せっかくだから」と入ってもらい、今度は浦島さんが係員を代役で演じます(結局見学しているのは岡本さん……)。


筒井さん、多田さんにも感想を訊いてシェア。
「相手の台詞を聞くたびに、相手に何思われてんのやろと思って、すっごいドキドキしました」という多田さんに「ああ、僕もです」と岡本さん。
岡本さん、どうやら今日は収穫が多い一日になったようです。

最後に慰安旅行のコントを全員で。
多田さんが本役として演じる社長の役に浦島さんが入ります。


終わって、時間の迫るなかでフィードバックタイム。
「ずっと役者をやってきた方は何がちがうと思いました?」と筒井さん。
パラパラと感想。
筒井「浦島さんって舞台に立っているあいだ、ずっと時間が続いているんですね。そこにいるだけで安心していられるっていうか、それって共演者にとってすごく助けになるんですね。それを今日はみなさんにも見てもらいたかったんですね。そういう振る舞いってどうやって身につけたんですか?」
浦島「えええ?そうですね……まあ、経験の浅い人って舞台上でいろんな姿勢をとっちゃうんですが、それってやっぱり意味が生まれちゃうじゃないですか。なので、意味のない行動はしないというか、必要のないときは動かないようにしてますね」
筒井「他にコメディで気をつけたほうがいいことってあります?」
浦島「目線……かなあ」
筒井「間とかはどうですか?」
浦島「間があくことを恐れないっていうのは大事なんじゃないですかね。あとツッコミの台詞だったら、お客さんが気付く前か遅くても同時にツッコミを入れられるようにするとか」
筒井「アドリブとかはどうなんですか?浦島さんは基本的に台詞は正確ですよね」
浦島「そうですね……基本的に台本は作家さんが推敲して出してきている完成品だと思っているので、僕は台詞を変えるっていうことの意味があんまりよく分からないんですよね」
などなど。

「やっぱり上手い人の芝居を見て、自分と何が違うのか、その人はどんなふうにやっているのかを考えてみることがスタートです!」と筒井さん。

退館時間となり、この日の稽古はここで終了となりました。






2013年7月2日火曜日

からだ、観察、気付き、ふるまい

今回は沢さんがお休みということで、普段は高槻の公演クラスを担当している森が記録を代行。
高槻の2クラスも雰囲気がちがいますが、筒井クラスも全然雰囲気がちがって新鮮です。

2つのグループに分かれて同時に立ち稽古。
筒井さんが主導するというよりメンバーが自分たちで練習を進めて、筒井さんはそれを見ながら時折指示を出すという進め方で稽古をしているようです。

台本はどちらも短いシチュエーション・コメディ。
どちらのグループも非常に熱のこもった演技をしながら、一通りやってみたあとには冷静に振り返ったり打ち合わせをしたり。
とても集中力が高くてちょっと圧倒されるほどです。



開始から約1時間が経過したところから、筒井さんのディレクションがスタート。
かなり細かく芝居を止めて返しながら、からだの動きや姿勢や仕草を中心に指示を出します。
内容的にはシチュエーションや役柄をきちんと成立させるためのベーシックな部分に関するものが多いのですが、その指示が本当に細かいのでよく見ているなあと驚きます。
自主練習のモチベーションの高さの理由が何となく分かったような気がしました。


筒井さんの指示は芝居をつくるとか組み立てるというより、役者たちに気付かせるというのが合っているような感じがします。
ステータスや立場によってその人物はどんなふうに振る舞いが変わるのか、その様子は他者から見るとどんなふうに見えるのか、その見え方や振る舞いを自分たちが演技として使えているかといった問題を浮かび上がらせ、気付かせます。
どちらかというと観察することに重点を置いているような印象がありましたが、こうした「観察」や「気付き」もまたアレキサンダー・テクニークの考え方を基盤に置いているからなのかなと思いました。

稽古の最後に、筒井さんから一言。
「自分の指示はどこまでいっても点でしかない。いろんな指示は出すけれど、その指示を全部やってもひとつの流れが出来上がるわけではない。その点をつなぐのは役者本人にしかできないことだから、その作業を繰り返し練習してがんばってほしい。とにかく反復して練習しなかったらそれはできるようにならない」

来週は筒井さんがお休みするということで、練習は自主練習になります。
ラボの講座としては次回は再来週。担当はいつもの沢さんに戻ります。

森(2013/07/01)